すでに塾などでは新学年をスタートしていますが、いよいよ春休みを経て学校でも新学年が始まります。
この時期にやっぱり多いのが受験生になる方からの相談。
ただいつも書いていますが、受験学年になってヨーイドン!は、すでに周回遅れなんだと知っておいてほしい。
もちろん、今現在成績が良くて、上位に食い込んでいるという方は、今からヨーイドン!でも、全然かまいません。
そういう方はすでに塾などのカリキュラムや合格への道に乗っているわけですから。
引き続き、その路線からこぼれないようにすればイイ。
しかし、今現在、成績が振るわない方、つまり前学年までの勉強が覚束なかった方がいよいよ受験学年だ!いくぞー!と今思うのは、やっぱり周回遅れ。
これは高校受験よりも中学受験に顕著に出ます。
いろいろと手を打った上で、試行錯誤をした上で、受験学年になってこそ、本来の意味での「いくぞー!」になる。
周回遅れの方は今までの2倍以上の労力がかかる。実にしんどい作業なのです。
それはある意味、受験生本人よりも周りの親のほうが先に諦めたい気持ちになりうる。
この春休み、塾などの勉強以外で復習をしようと頑張っている方がたくさんいらっしゃる。
だって、夏までが勝負!と走っているわけですから。
「なにをすればいいでしょうか?」って今問うている方は、この1年実に苦しい戦いをすることになることを肝に銘じてほしいと思います。
さて、同じような受験学年の方からの相談がきていますのでここで取り上げ、回答にかえさせていただきたいと思います。

小6の息子を持つ母さん
今本当に悩んでいます。
藁にもすがる思いで先生のアドバイスをいただきたくメール致しました。
4年生から本格的に入塾し、今まで受験をするつもりで勉強をしてきました。
とはいえ、友達と遊びたい気持ちが優先して、塾の宿題は後回しにすることも多く、模擬試験が1週間後に控えていようと、試験の為に対策を立てて特別勉強するという事はなく、ぶっつけ本番状態でした。
やればもっと点をとれるはずと思うのですが、偏差値50あたりをウロウロしていて、一向に上がる気配なしです。
いよいよ受験生となり、入試まであと300日。
2月から塾では新学年となり、5年生の時とは違って自主的 に自習室へ行って宿題をするようになり、
「頑張ってるね。5年生の時とは違って意気込みが感じられるわ」
と褒めると、
「そりゃあ、5年の時と同じじゃ困るでしょ」
と自覚もし、この調子で頑張ってくれるものと思っていました。
ところが、先日塾で入試に向けての勉強の仕方や意識を高める為の「進学ガイダンス」が終わったあたりから少し様子がおかしくなりました。
ガイダンス直後は、塾のアドバイスどおり、自分なりの間違い直しノートを作成したり、やり方を少し工夫してみたりと変化が見えたのですが、そのうち、
「勉強したくない」「算数のこの単元難しいからわからない。だから宿題できない」「やる気ない」「塾行きたくない」「受験はもうやめる」
と思いっきりモチベーションダウンの状態になってしまいました。
どうしてそんな風に思うようになったのかと聞くと、プレッシャーを感じると言います。
ガイダンス後あたりからだんだんとやる気が出てくると塾では言われていたのに、息子は正反対です。
「受験しなかったら、公立の○○中学行く事になるけどいいの?」と聞くと、「○○中学は行きたくない」の返事。
これまで折りに触れ、親の私たちはどうして受験させたいと思っているのかを話して聞かせ、息子も納得して遊び時間を削ってあまり好きでもない勉強を続けて来ました。
そして遂に、今日、春期講習初日の午前中、宿題に集中できず
「算数は絶対やらない」
と言いつつ、他の教科の宿題をしていたかと思うと、
「今日は塾休む。行ったっておんなじ。だって授業聞いてない もん。受験に対してやる気薄れた」
と言い出しました。
「塾行かないでどうするの?」
「行ってもムダ!家で宿題終わらせる」
「じゃあ、今日は休むと言うことは明日は行くの?」
「明日も、あさってもずっと」
「と言うことは、塾やめるって事?」
と聞くと、
「うん。もう○○中学でいいわ。小学校の仲良しの子達も行くし、 一緒に遊べるもん」
と言うようになってしまいました。
4教科、1日休むと今日の単元は解らずじまい。宿題もできない。
この次、また行く気になってもポッカリ空いたこの単元、解らなくてついていけなかったら、また行きたくなくなる・・・
どんどん負のスパイラルに陥りそうで怖いです。
本人は算数が苦手と思っており、実は、5年生の9月にも、算数の問題が解らず宿題に手こずり、「塾行きたくない」と言った事がありました。
その時は塾に親子で出向いて校長先生と話し、何とか乗り切ってきた事がありました。
算数につまづく度に「僕はあんまり頭よくないし」と自分の事を卑下するので、
「あなたは頭悪くはないよ。頭悪かったら、学校の通知表で5 が取れる訳ないじゃない」と言っても、
「学校はできても、塾は別」らしいのです。
乗る時、乗らない時マイペースな性格で、私もイライラしたり責めたりうるさく言ったりした事もありますが、意識して、多少点数が悪くても
「復習してない割には今日の復習テストまあまあじゃない。 復習してたらもっとよくできてたのにね」
などとモチベーションを維持するための声がけはするようしていたのですが・・・。
いよいよ受験生となった今になってこんな状態になり、親としては、どうしていいものか悩んでいます。
良きアドバイスをお願い致します。

これと同じような相談が同時期にいくつか寄せられ、その中で一番長い相談をここに紹介した次第です。
受験までに1年間、ここでは、「まだまだ時間はありますよ」という意味で率直に言わせてもらえば、この方は明らかに周回遅れとストロングは思います。
そう思う、いくつかの点があるのですが、たとえば、

塾の宿題は後回しにすることも多く、模擬試験が1週間後に控えていようと、試験の為に対策を立てて特別勉強するという事はなく、ぶっつけ本番状態でした。

とか。
ありえない・・・・わけです、こんなことは。
それも中学受験の最重要学年の5年で。
中学受験の5年はほとんどの単元を習い終える学年です。
6年になって一部まだ新しいことは習うけれど、基本的には、6年になってからはもう5年で習い終えた単元のより応用を習っていく。
小5で習った「基本」「応用」があるとするなら、小6になれば、小5の「応用」が基本になる。
つまり、小5の「基本」「応用」ができているという前提で、受験学年は構成され、小5の上に小6が乗っかる。
おおざっぱに言って、小5の「応用」までができた状態で小6の授業に臨まないと、それは小6では「基本」でしかなく、下手をすると授業ではその「基本」はサラサラ程度でしか触れられないこともしばしばです。
現実の塾がそうなのに、小5を無勉強、無対策で過ごして、小6で授業に臨んでわかるわけがない。モチベーションが上がるはずはないのです。
声掛けでモチベーションが上げるのは10分か、もって1日でしょう。
作戦ミスというしかないでしょう(>_<)
さらに問題なのは、小6の息子を持つ母さんの声掛けは、
頑張っていないのに褒める!
を繰り返している点。

2月から塾では新学年となり、5年生の時とは違って自主的 に自習室へ行って宿題をするようになり、
「頑張ってるね。5年生の時とは違って意気込みが感じられるわ」

「宿題をやってすごいね!」は、どのレベルを目指しているかによって評価が変わってきます。
が、少なくとも中学受験で、一定以上のレベルを目指すのであれば、宿題をするのは当たり前田のクラッカーで、宿題を「こなす」ことにさほどの意味はなく、宿題を通常3回ほど繰り返して「はやく解ける」まで落とし込んで、次の授業やテストに臨んでいるのが私たちにとっては普通の状態です。
もっと突っ込めば、
「自習室に行く」=「勉強を頑張っている」
という判断になっていますが、この図式が成り立つのは、全体の半分以下の割合になるでしょう。
成果のある勉強を自習室で自分でできるのは上位の連中だけと断言してもいいでしょう。
もちろん自習室には先生やチューターがいて、質問はできるのかもしれない。
でも、「はやく解ける」まで子供自身が自ら落としこめるかといったら、そうはなっておらず、「宿題をする」レベル。
でも、「宿題をする」レベルは、繰り返しますが、中学受験では「普通以下」なのです。
「意気込みが感じられる」どころの話ではありません。
親からすれば「この調子でもっと頑張って欲しい」と願う気持ちはわかります。
ただですね、

「復習してない割には今日の復習テストまあまあじゃない。 復習してたらもっとよくできてたのにね」

なんて親は励ました気持ちで言ったとしても、子供からすれば励まされたことにはなってないわけです…。
きっと、次だって復習しないはずですから(>_<)
親のみなさんに考えて欲しいのは、復習しない理由について。

復習するのが面倒だから

子供たちはこのように答えますけど、復習しない理由ではないとストロングは考えています。
というか、面倒だからを理由にしていたのでは問題は解決しません。
「面倒くさがらずにやりなさい!」
で解決するでしょうか?
解決しないことぐらい親のみなさんが一番よく知っているはず。
なぜ、面倒くさがるのか?
一歩踏み込んで、ここを考えていく必要があるでしょう。
復習が簡単なことであってもしないのか?
子供たちだって復習が大切なことぐらいわかっています。
やらないよりかはやった方がいい。成績がイイ子は復習をちゃんとやっているとも思っているし、知っている。
でもね、復習がどれだけ面倒な勉強になるかを子供たち自身は感覚的にわかっているわけです。
「絶対、1時間じゃあ終わらねえぞ!」
ってわかっている。いや、どれだけで終わるかなんて見当がつかないほど厄介だと思っているかもしれない。
だから、面倒臭いわけです(^_^)
小学校の宿題であれば、「やりなさい!」と親が言えばやる子だって、塾の宿題や復習は面倒くさがる。
これって勉強する内容が難しいからですよね。
なのに、
「頑張ったらできるよ」
という言葉掛けは効果はありません。親がまずすべきは

わからない問題がどのくらいあるのか?

を把握すること、そして、

できる問題だけでも復習をさせること。

0(ゼロ)じゃダメなんです。1問でもやらせること。
でも、1問頑張ったら、明日は2問頑張らせる。 
わからない問題100問やることが頑張るということじゃない。
子供が逃げたがっているなら、1問から。
たとえ、1問やってもテストでは効果がないとしても、それでも子供にとっては「どうしてもやりたくない1問」を越える意味がある。
テストには効果がなくても、歯を食いしばって頑張った1問。
それは塾からも先生からも評価されないかもしれないけれど、子供の人生にとっては意味がある1問になる。
1問で終わりじゃない。明日は2問、3問・・・・
こういう取り組みをすることで受験が合格不合格だけでない、違う意味も持ちうるし、そうすることこそが「たかが受験」が「されど受験」になっていくのではないでしょうか。